食後のむかつき、早期飽満感、重たい焼ける感じなどの不快感がみられ、胃カメラで見ても原因がハッキリとしないのがこの疾患です。
以下のような原因が挙げられますが実際には不安などの心的ストレスが原因になっているケースがとても多くみられます。
食後のむかつき、早期飽満感、重たい焼ける感じなどの不快感がみられ、胃カメラで見ても原因がハッキリとしないのがこの疾患です。
以下のような原因が挙げられますが実際には不安などの心的ストレスが原因になっているケースがとても多くみられます。
急性の感染性の胃腸炎が回復したにもかかわらず、FDの症状が遷延することが報告されています。疫学的にはよく解っておりませんが、感染性胃腸炎が引き金になることは間違いなさそうです。
まず、胃カメラ検査は必要です。内視鏡で胃炎があればピロリのチェック、ピロリ菌が陽性なら除菌をしましょう。除菌後数ヶ月してFD症状が改善することも多く見られます。
そして症状にもよりますが、痛みが長く続く場合には腹部エコーを行うことをお勧めします。FD症状を有する方の中に慢性膵炎の方が、多数存在することが報告されています。
また、食後の不快感が続く方で胃カメラでは問題がなく、腹部エコーをしたら膵がんが発見された症例を何例も経験しています。胃が問題ではなく、膵臓などの臓器に原因があることも考慮すべきです。
機能性胃腸症のガイドライン上も機能性ディスペプシア(FD)の治療のまず初めにすることはピロリ菌の除菌となっています。除菌療法により一定の割合でFD症状が改善することが報告されています。またピロリ菌の除菌は胃がんの予防にも繋がります。(*1)
まず胃酸の分泌を和らげる薬(H2ブロッカー プロトンポンプインヒビター)は基本使用します。次に運動機能を改善させる薬の開始がいいでしょう。
FD治療薬の中には、アコチアミドのように日本人を対象とした臨床試験(*2)で有効性が示されている保険適応薬もあります。
身体と心は密接に関係しており、様々な症状に結びついています。機能性ディスペプシア(FD)を含め、胃の痛み・不快感、胸が詰まる感じなども、心の不安定さが原因のことがあります。機能性ディスペプシア(FD)の方のQOL(生活の質)低下が問題となっています。
特に、不安や抑うつがQOL(生活の質)を低下させると言われています。気分的な問題が前面にある場合、心療内科的な治療も導入したいところです。私の経験上、速やかな症状の改善が期待できます。心療内科的治療を怖がる必要はありません、いずれ治療は卒業できます。心療内科的な治療で、確実に治癒する方向に向かいます。
(*1)ZhaoB,et al.Efficancy of Helicobacter pylori eradication therapy on functional dyspepsia:a meta analysis of randomized controlled studies with 12 month follow up. J Clin Gastroenterol 2014;48:241-247
(*2)Matsueda K , et al . Clinical trial: dose-dependent therapeutic efficacy of acotiamide hydrochloride in patients with functional dyspepsia – 100 mg t.i.d. is an optimal dosage. Neuro-gastroennterol Motil 2010 ; 22: 618-e173
機能性消化管疾患診療ガイドライン2021 改訂第2版 機能性ディスペプシア(FD)
編集 日本消化器病学会
機能性消化管疾患診療ガイドライン2014機能性ディスペプシア(FD)
編集 日本消化器病学会
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