食道がんとは

食道は、喉と胃をつなぐパイプ状の臓器です。波のように動き、食物を胃に送る働きがあります。食道の内面を覆っている粘膜から発生したがんを食道がんと呼びます。
食道がんは、進行すると外に向かって広がっていきます。

外側（食道の周囲）にある気管や肺、大動脈などの重要な臓器にも広がって行きます。また、食道壁内や食道周囲にはリンパ管や血管が豊富にあり、食道がんはリンパ節転移を起こしやすいがんです。

日本人の食道がんは男性に多くみられ、男女比はおよそ6：1とされています。40歳代後半から増加し、70歳代に発生しやすいと言われています。

食道がんには本来の食道粘膜から発症する「扁平上皮がん」と胃がんに似た組織の「腺がん」という2種類があります。日本では食道がんの90％以上は扁平上皮がんといわれており、残りの数％が腺がんです。最近では食道腺がんがゆっくりと増えている傾向にあります。

食道がんの原因

• 日本人に多い扁平上皮の食道がんの2大リスク「喫煙」と「飲酒」
• 喫煙と飲酒習慣の両方の方はリスクが更に増加することがわかっています。
• お酒で顔が赤くなる人は、遺伝的に食道扁平上皮がんのリスクが高いことも知られています。
• 6：1で男性に多いのはリスクを高める生活習慣をもつ人が男性に多いからと考えられています。
• 欧米に多い食道腺がんの場合には、胃食道逆流症によって食道の組織が胃の組織に置き換わる現象（バレット食道）がリスクとなります。

食道がんの症状

• 食道がんは小さいうちは、ほとんど症状があらわれません。
• 早期の時期に違和感やチクチクとしみる症状が出ることがあります。
• 些細なサインを見過ごしたくないですね。
• 食道がんの多くは胃カメラ検査で偶然に発見されます。無症状の早期うちに発見して治療ができれば根治することができますので、検診の胃カメラがとても大切です。
• がんが進行すると食道が狭くなり、飲み込みにくさを自覚するようになります。
• 声の枯れる感じ、咳、体重減少などがみられるようになります。

食道がんの治療

• 食道がんの治療法はがんの進行度（根の深さ）や転移の有無によって選択されます。
• とても浅いがんは内視鏡的な切除で治療できますが、進行したがんは外科的切除が必要になります。
• 食道がんの外科的切除は開胸と開腹をする手術で、比較的大きな手術です。
• 他臓器に転移している進行度の場合には抗がん剤や放射線療法が選択されます。

食道がんの特徴

• 進行するまで症状があまり出ない、無症状の時期に検診で見つかることが最善です。
• 比較的進行のがんであり、リンパ節転移や血行性転移などを起こしやすいがんです。
• リスクとなる生活習慣を続けていた人に発症するがんであり、食道がんに限らず喉や胃にもがんが同時に存在していることが少なくありません。