バレット食道
バレット食道
一般的な食道の粘膜は、扁平上皮(へんぺいじょうひ)と呼ばれる組織で、酸に耐えられる性質のものではありません。
食道の粘膜が慢性的に胃酸にさらされると、胃から連続的に円柱上皮(えんちゅうじょうひ)と呼ばれる酸に強い組織に置き換わってしまうことがあります。
この状態をバレット食道と呼びます。バレット食道を発症すると、食道がんを発症リスクが高まることが知られています。
胃食道逆流症が大きな要因であるとされています。また、胆汁酸の逆流もバレット食道の発症に関連していると言われています。加齢、肥満、喫煙でもバレット食道を発症するリスクが高まります。
胃液(胃酸、ペプシン)や十二指腸液(胆汁、膵液)が食道まで逆流し、食道が炎症を起こすことを逆流性食道炎といいます。逆流性食道炎はバレット食道の主な発生要因とされています。
院長のひとこと
多くの胃食道逆流炎の方を観察して来ましたが、炎症がメインでバレット食道に発展しない方と、バレット食道の進行が目立つ方に二極化している様に推察されます。成因に謎が多いと思われます。
一般的な食道がんはもともとの扁平上皮から発症した扁平上皮がんですが、バレット食道がんは、腺がんで胃がんに似た性質のがんです。近年この腺がんがじわじわと増加傾向にあります。
バレット食道腺がんの発がんのリスクは明らかではありませんが、3cm以上に進行したバレット食道で毎年1.2%の発がん率との報告があります。日本人に多い短いタイプのバレット食道の発がん頻度は、現時点では不明です。
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