2024年10月16日
もし大腸がん検診で便潜血反応が陽性になったら
初めて陽性になった人は、必ず速やかに大腸内視鏡検査を受けましょう!!
便潜血反応で陽性になる病変は、がんやそれに近い進行したポリープが多く、痔だと放置してしまうは、大変危険です。
日本の大腸がんは40歳から増え始めます。そして、全大腸がんの約30%がこの検査をきっかけに発見されてます。
男女共に大腸がんの罹患率、死亡率は年々高くなってきています。
便潜血検査は2回中1回だけ陽性でも検査は必ず必要です。(理由は下のQ&Aに示しました。)
過去5年以内に大腸内視鏡検査を受けていれば、少し安心できますが、それでも大腸内視鏡検査は必要と考えます。
ただ、がんであっても70%は早期がんです。『早期がんの90%は転移などなく根治できる。』と言われています。
便潜血検査の精度と実際
便潜血検査では、約7%の人が陽性となり、「精密検査が必要」という判定を受けます。そしてこの内、実際にがんがみつかるのは6-7%の方です。
もちろん大腸がん以外の疾患でも便潜血反応は陽性になります。一番多いのが内痔核(いぼ痔)などの肛門疾患。がんでは無いが大きめのポリープも陽性になります。実際に、便潜血検査陽性の30-40%の方は、大腸内視鏡検査をしても大腸になんの病変も認めません。
また、便潜血反応1日法で62%の死亡率の減少効果があると証明されています。ただし、この死亡率減少は、大腸内視鏡検査を受けた場合の話です。
便潜血検査陽性の次の精査方法は何種類かありますが、基本的には大腸内視鏡検査が一番精度が高いです。
しかし、苦痛のない、精度の高い大腸内視鏡検査を行える施設が多くない事もあり、精密検査の受診率は54%ほどにとどまるのが現状です。
痛い、辛いと言ったイメージが先行してしまうのでしょうか。
大切なのは早期発見です!
日本の臓器別の死亡者数で、大腸がんは上位に入ります。一生のうちに大腸がんにかかる割合は、男性で11人に1人、女で13人に1人とも言われています。
大腸がんは早期の段階で治療を行うと完治させることが出来ます。さらに言えば、大腸ポリープの段階で内視鏡切除できれば理想的と考えます。
◎当院では鎮静剤を使用し、寝ている間にできる大腸内視鏡検査を行っております。一度ご相談いただければと思います。
Q&A
便潜血一回だけ陽性でも大腸内視鏡は必要ですか?
必要です。一般的に便潜血反応の感度は報告によりますが、70%前後と言われています。従って、大腸がんでも約30%位は陰性となってしまいます。更には早期大腸がんの50%は陰性になります。つまり、早期がんで『便潜血検査が2回中1回陽性』は十分に有りえます。
内視鏡で大腸ポリープの切除をするとがんの予防になるのですか?
大腸ポリープ(腺腫)から、大腸がんになる経路はおおよそ証明されています。ですから、大腸ポリープを切除することで大腸がんを予防することに繋がります。また、便潜血検査陽性から大腸内視鏡検査を受けた人のうち、大腸ポリープ(腺腫)が発見される頻度(大腸腺腫発見率;adenoma detection rate)は40-50-%と言われています。便潜血陽性の方の半分に近い方に、大腸ポリープが存在していると言えます。