2024年10月16日
なぜ、ピロリ菌の除菌が必要なのか?
ご存知でしょうか?
日本人の胃がんの96-99%は、ピロリ菌が陽性の方に発生しています。
ピロリ菌陽性の方がピロリ菌を放置した場合、約17%の人が胃がんに罹患すると言われています。ピロリ菌を除菌することで胃がん発症のリスクは半分にまで減少させる事が出来ます。
除菌しない理由がありませんね。
ピロリ菌の有無を調べる方法
- 血清ヘリコバクター・ピロリ抗体検査 (血液検査)
- 尿素呼気テスト (一般的に除菌後の判定に行う)
- 迅速ウレアーゼ・テスト (内視鏡時に組織を採取する)
- 便中ピロリ抗原検査 (ご自身で便から検体を採取する)
それぞれの検査にメリット・デメリットはありますが胃カメラをして、胃炎を確認した人にピロリ菌の検査をすることになっています。
つまり、胃カメラを行っていないと保険診療では、ピロリ菌の有無を検査することはできません。『胃カメラをしないでピロリ菌の有無のみが知りたい!』という方は自費になりますが血液検査で血清のピロリ抗体をチェックする事をお勧めします。
抗ピロリ抗体が陽性ならば、是非、胃カメラを受けていただきたいです。
なぜなら、ピロリ菌が陽性の方は、比較的壮年層の方にも胃がんを発じる事があるからです。
血清ピロリ抗体検査が陽性だったら・・
ピロリ抗体検査は血液検査で出来、簡便でよいのですが、正確でないケースが少なくありません。よく検診で血清ピロリ抗体を測定し、『低値だけど陽性』という方がいます。
このようなケースでは、ほとんどの方にピロリ感染はありません。
ピロリ抗体が陽性と判断されたら、まず胃カメラを受けましょう!胃カメラをすることで良い事は、ピロリ感染があるか否かがはっきりすると言う事です。
胃カメラで胃内を観察するとピロリ現感染性の胃炎があるか否か、判断できるケースが多いです。(もちろん判断が難しいケースもありますが・・)
従って胃カメラをすることで、無駄に除菌薬を服用する機会を防げます。除菌薬は抗菌薬ですから、必要なければ出来るだけ服用したくない薬です。
なぜ胃カメラが大切なのか?
ピロリ菌のチェックもピロリ菌の除菌も、すべては胃がんの予防のために行う事です。しかし、今現在もしも胃がんが存在するのであれば、行う事は予防ではなく、胃がんの治療です。
内視鏡治療が可能な多くの早期胃がんは胃カメラをしないと指摘できません。
ピロリ菌保有者は比較的壮年層の方で、すでに早期の胃がんが存在する可能性があります。ピロリ菌保有者こそ早期発見のために胃カメラをするべきなのです!
そういった面からも、胃カメラをしないで除菌をしてしまうのはリスクがあります。
胃カメラなしの除菌は保険でも認められていません。しかし、どうしてもどうしても、胃カメラに抵抗がある方は自費で除菌薬を処方いたします。
胃がんの発症リスクを考えると せめて除菌だけでもした方がいいと考えます。
3次除菌について
当院では2次除菌で除菌不成功の方に3次除菌薬・4次除菌の処方を行っています。
諦めずに、まずご相談ください!
NHPH(Non Helicobacter pylori Helicobacters)
ピロリ菌には似たピロリ菌の仲間達がいます、Non Helicobacter pylori Helicobacters 総称してNHPHと呼ばれています。犬や猫、豚にも感染する人畜共通感染症で、ヒト胃粘膜に感染がみられるNHPH はH. suis, H. heilmannii, H. bizzozeronii,H. felis等が知られています。この菌感染するとピロリ同様に胃炎を起こします。(以下:NHPH胃炎とします)
NHPH胃炎は消化性潰瘍や胃mucosa-associated lymphoid tissue(MALT)リンパ腫の原因になることが報告されていますが、病態は謎が多く、内視鏡像や検査方法はいまだ確立されていない。内視鏡的に鳥肌胃炎や、胃角部や前庭部に霜降り様に見える部分的な萎縮所見が特徴的とされています。ピロリ菌と異なりアンモニアを生成する反応が陰性が弱いため、通常のピロリ菌の検査法では判定できないケースが多くみられます。
ですから内視鏡診断がとても大事になると思います。ピロリ菌の判定が陰性だからと言って終わりにせず、内視鏡医がNHPHに感染している可能性を疑う事が肝要です。
当院でも明らかな胃炎はあるのにピロリ菌の判定が陰性だった患者様には、NHPHに感染している可能性を考慮します。がんのリスクを考慮して除菌してみる価値はあることを説明し、除菌療法を開始する症例も最近は増えています。NHPH治療は確率していませんが、一般的なピロリ菌一次除菌療法が有効な例が殆どです。
当院では、ピロリ菌に関するあらゆる相談を承っております!
お気軽にご相談ください。