2025年5月18日
はじめに
この表を作っている時に胃カメラの方法はいろいろあるが
検査をする医師がどのような人かが、一番の問題だよなーと思いました。

この表の解説は 「胃カメラの選び方」に記載されています。
皆さんはどうやって内視鏡をうける施設を探しますか?
広告や「楽にうけれる!」などの、うたい文句で選択するのでしょうか。
内視鏡医である私が、こういう医師なら胃カメラ・大腸カメラを頼みたい!
と思う条件を患者さん目線で考えてみました。
どうぞ、参考になさってください。
まず質の高い内視鏡検査の条件とは・・
どんな医師がするのか。癌の見逃しはないか。
シッカリと生検してくれる施設か。
などなど、皆さんも色々と思うところがあるでしょう。
胃カメラに限らず、大腸のカメラもしかりですが、
シンプルに 『楽に検査が受けられて、病変の見逃しのない検査』
ではないでしょうか。
どこをみれば、楽に受けれて見逃しをしない医師や施設を探せるのでしょうか?
楽に検査を受けられる医師や施設を選ぶ着目点は
医師の経歴に注目
内視鏡検査の経験をどれくらい積んでいるのかを確認しましょう。
内視鏡は簡単には上手くなりません!!
何年間、内視鏡に取り組んできた医師かを確認するのは、重要だと思います。
長ければ長いほどよいですし、最低10年は内視鏡検査の研鑽を積んでいてほしいかなと思います。
鎮静しない内視鏡ができるかに注目
なぜ『鎮静しない』内視鏡なの??と思った方も多いでしょう。
鎮静する内視鏡は楽に出来て当たり前です。
鎮静をしないで辛くなく、上手に内視鏡ができるのは、非常に技術のいる事です。
普段は鎮静内視鏡をしていても、
堂々と『鎮静しない』内視鏡でもやれますよ、受けてみてください!
と言える医師は上手な内視鏡医だと私は思います。
見逃しの少ない医師・施設を選ぶ着目点
見逃しをゼロにすることは残念ながら、できません。
どんな有能な内視鏡医でも、若い時には見逃しをしてしまったこと、
後で痛い目にあった経験があると思います。
もちろん私も然です。
この内視鏡の性能が発達した時代に、進行癌は見つけられて当たり前です。
それでも、早期胃癌は見落としてしまう内視鏡医もいるでしょう。
胃の内部は胃酸やピロリ感染の影響があり、早期胃癌はとても繊細な変化で存在しています。
早期胃癌、特に平坦型の病変の指摘には注意深い観察が必要です。
ここで一つエピソードをご紹介します
私の大学時代の恩師である先生は、毎日大学の内視鏡室で撮られた胃カメラの写真を一枚ずつ見返されていました。何人もの検査医が撮った写真を全てです!そして『胃のドコドコに早期胃癌があるので再検査してください』などのコメントを残し、検査をした医師が指摘出来なかった胃癌病変を指摘していました。
まさにそういうことで
同じ画像を見ていても、癌と認識できる内視鏡医もいるし、認識できない人もいる。
残念ながらこれは事実です。なぜ?と思う方もいるでしょう。
イメージとしては、「だまし絵」のような感じだと、私は思っています。

この「だまし絵」をみて動物(癌)がいると気付けるか。木が立っているね、とスルーするか。
意識と経験の差なのですが
早期胃癌が、どう内視鏡で見えるかをたくさん経験している人には敵いません。
(結局、AIも人間も学習したことしか解らないのです。)
ではどのような医師がたくさんの胃癌を経験していると判断できるでしょうか。
それは「内視鏡治療」をして来た医師か否かは判断材料になるのでは、と思います。
これに関しては、自分の経験からの意見であり万人に当てはまる事ではないかもしれません。内視鏡治療の経験がなくても勉強なさっている先生は、この限りではないと思います。
ただ癌の内視鏡治療をしていた内視鏡医は、胃癌の形態について深く考えている医師が多いと思いますし、癌の経験数が多いことは間違いないと思われます。
(自分の手で患者様の体に傷をつける訳ですから、真剣に考えざるを得ません。)
私の場合、内視鏡治療をしてきた経歴のある医師だと聞くと、かなり安心してしまします。
「内視鏡治療」を経験してきた医師かの判断も、ホームページに載っている医師の経歴からある程度判断できると思います。「内視鏡治療」を主戦場にしてきた医師はその事を経歴に載せていることが多いですから。
AIを導入している施設
これまで人間の目の話をしてきました。人間の目がとても優秀なのは間違いありません。しかしながら、疲労する弱点があります。例えば大腸内視鏡検査において、AI補助化で検査をおこなうとポリープ(腺腫性ポリープ)の指摘率に約8%上乗せ効果があることが大規模研究で証明されています。※
ポリープを見つけることに関しては、AIが搭載させている内視鏡検査が良いと言わざるを得ません。やはり今後、AI補助化の内視鏡は標準化されていくものと思われます。
※引用
Polyp detection with colonoscopy assisted by the GI Genius artificial intelligence endoscopy module compared with standard colonoscopy in routine colonoscopy practice (COLO-DETECT): a multicentre, open-label, parallel-arm, pragmatic randomised controlled trial.
Seager A, Sharp L, Rees CJ, et al. The Lancet Gastroenterology & Hepatology 2024;9(9):802–810.
このCOLO-DETECT試験は実臨床の多様な状況下でもAI支援がポリープ検出能力を底上げしうることを示した大規模エビデンスであり、特に腺腫性ポリープ指摘率の絶対値向上幅(約8%)は予後改善に直結する意義が大きいと考えられます。)
最後に
今回は「失敗しない内視鏡クリニックの選び方」と題して、
内視鏡医である私が受けたい内視鏡検査について書かせて頂きました。
いかがだったでしょうか。
内視鏡ができる施設はたくさんあります。
それぞれに特徴があり、患者様が快適に検査ができるように努力されていると思います。
設備や道具もとても大切ですが、やはり「人」に一番こだわりたいというのが私の結論です。
内視鏡は急には上手くなりません!
その医師が内視鏡に費やしてきた時間は、ウソをつかないものと考えます。