2025年4月23日

はじめに
下血とは消化管からの出血が、肛門から出てきた状態を指します。
排便時の出血。少量の出血でもビックリしますよね。
こんな時どうすればいいのでしょうか。
患者が慌てず対応できるように、下のような自己診断フローチャートを作成しました。
ぜひ参考にしてください。
【下血した時の受診・検査の判断フローチャート】
(※矢印に従って進んでください)
Q1. 出血量が多く、ふらつき・冷や汗・脈が早い・意識が遠のくなどの症状がありますか?
はい →【緊急】救急外来を受診してください(大量に出血している可能性があります)
いいえ → Q2へ
Q2. 出血の色は?
黒っぽい・海苔の佃煮状【注意】胃や十二指腸からの出血の可能性 → 胃カメラが必要です、消化器内科を受診してください
暗赤色(赤黒い便)→ Q3へ
鮮やかなサラサラした血液 → Q6へ (色の判断に迷う場合はQ3へ)
Q3. 腹痛がありますか?
はい →【要受診】腸炎・虚血性大腸炎などの可能性 →慌てずに 消化器内科を受診してください
いいえ → Q4へ
Q4. 急に下痢や便秘傾向になりましたか?
はい →【要受診】大腸がんによる狭窄症状かも知れません→消化器内科を受診し大腸内視鏡を検討してください
いいえ → Q5へ
Q5. 貧血症状がありますか?(立ちくらみ/息切れ/顔色が悪い/疲れやすいなど)
はい →【要受診・要検査】慢性的な出血、大腸がんの可能性 → 消化器内科を受診し大腸内視鏡を検討してください
いいえ → Q6へ
Q6. 年齢は40歳以上ですか?
40歳以上 →大腸ポリープ・癌のリスクが上がる年代 → 大腸内視鏡を検討してください
いいえ → Q7へ
Q7. 今回が初めての下血ですか?
はい(30歳代) →【受診をおすすめ】初めての下血は原因不明が多く、精査が必要です → Q8へ
はい(20歳代)→Q11へ
いいえ(過去にも経験あり)→ Q8へ
Q8. 過去に大腸内視鏡検査を受けたことがありますか?
いいえ →下血の原因を明確にするために大腸カメラが必要です
はい → Q9へ
Q9. その検査はここ1〜2年以内に受けたものですか?
いいえ(数年前)→大腸カメラを再度検討する必要があります
はい → Q10へ
Q10. 過去の検査で「痔」などの明らかな出血原因があり、今回の出血も同様の症状ですか?
はい →経過観察も可能 ただし出血が続く場合は一度受診を
いいえ・症状が異なる/出血が多い →受診+再検査をおすすめします
Q11. 排便時の出血で、便器に垂れて広がり、茶色の有形便を伴いました?
はい →経過観察も可 痔核からの出血の可能性が高いと思われますが一度は肛門科受診を
いいえ→Q8
まとめ
このような症状の方は、一度大腸カメラを検討してください
- 40歳以上で下血がある方
- 初めての下血がある方
- 腹痛を伴う出血がある方
- 出血の色が暗赤色または黒っぽい方
- 急に便秘や下痢傾向になった
- 過去に内視鏡を受けておらず、原因が不明な方
- 排便時に腹痛をともなう
- 貧血を言われている
●鮮やかな出血の場合には、痔核からの出血の可能性が高く少し安心できます。
特に肛門に違和感を伴っていた場合、年齢が20歳代の方の場合は、かなり安心できますね。
●暗赤色の血液がでる時、また便に付いている時には注意が必要です。
出血してから時間がたった血液の状態で、奥の方からの出血が示唆されます。除外しないといけない疾患に大腸癌があります。注意が必要です。
最後に
このフローチャートはあくまで簡易的な自己判断として使用してください。基本的には出血したら一度は消化器内科クリニックに受診するのがオススメです。除外しないといけない疾患に大腸癌があります、痔からの出血だと決めつけるのは大変危険です。最終的には患者さん自身の体調や不安の強さも考慮し、少しでも迷えば早めに受診することが肝要です。
当院は痔の診察や大腸カメラを得意にしているクリニックです。
患者様が安心して頂ける診療を心がけています。
どうぞ、お気軽にご相談ください。
文責 鶴見東口やはらクリニック 矢原青