大腸カメラの洗浄液を飲みやすく!|横浜鶴見区の消化器内科・内視鏡(胃・大腸カメラ)|鶴見東口やはらクリニック

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大腸カメラの洗浄液を飲みやすく!

大腸カメラの洗浄液を飲みやすく!|横浜鶴見区の消化器内科・内視鏡(胃・大腸カメラ)|鶴見東口やはらクリニック

2025年4月09日

大腸カメラの洗浄液を飲みやすく!

■はじめに


『大腸カメラは寝てれば終わるから、いいのだけど・・。
検査前に飲むやつが苦手で・・』
 
診察中によく聞く会話です。
洗浄液の飲みにくさ、未だに改善されないですね。
私も自分が検査の時には、不味さをこらえて必死に洗浄液を内服しています。
 
しかし、大腸がキレイにならないと良い大腸カメラができない。
どうせやるなら見落としのない、シッカリと検査をしたいところです。
 
今回は大腸洗浄液について説明したいと思います。
洗浄液にはどのような種類があり、どの洗浄液を選べばいいのか?
一緒に考えてみましょう!!
 
最後に洗浄液が飲みやすくなる工夫や洗浄液を使用しない前処置法をご提案しています。
最後まで御覧ください。
 
 
 

■洗浄液のしくみを理解する

大腸洗浄液は腸内を物理的に洗浄することを目的にしていますので、洗浄液自体は腸に吸収されてはいけません。そのため体液に近い濃度(浸透圧)に作られています。このような組成の液体を等張液と呼びます。ニフレックは完全に等張液を内服しますが、モビプレックはやや濃く(高張液)に作られおり、後から水分を追加して等張液にする仕組みです。

高張液にはメリットとデメリットがあり、内服を控えるべき方もいます。

いずれの洗浄液も腸管の中では吸収されず、腸内の便を液体で洗うしくみです。

◯洗浄液の成分

大腸洗浄液の成分は体内に吸収されにくいもので作られています。

主に以下の成分が含まれています。

  • ポリエチレングリコール(PEG)
  • 電解質(ナトリウム、カリウム、塩化物、重炭酸塩など)
  • 酸化マグネシウム(マグコロールなどの場合)

これらの成分は体に吸収されにくく、腸管の中にとどまる性質があります。

またこれらの成分により腸が刺激され、腸の蠕動運動が促進されます。

■代表的な洗浄液の種類

1. モビプレップ
特徴
・比較的少ない量(1L + 水500mL)で済む
・便が早く出やすい
・腎機能の悪い方は禁忌
味:甘塩っぱい梅ジュース風味
ちょっと塩味が強く感じる
飲みやすい方だが、苦手な人にはツライ味のようです
飲み方
2パターンの内服方法があります。
モビプレップ1Lを180mLずつ15分ごとに飲む→その後、水500mLを追加で飲む
モビプレップ2杯+水1杯を1セットとし、繰り返す方法
初回の方は②の方法が望ましいと考えます。
 
モビプレックはやや濃く(高張液)に作られおり、腸内にはいると水分を体から腸に引き込む作用があると考えられます。腸の動きを活発にする作用が有りそうですが、水分の移動は体にとって負担になります。脱水に弱い高齢者の方、特に腎機能が悪い方には不向きな洗浄液です。若い方でも予め水分を補給してからの内服開始が望ましいと思われます。



2. ニフレック
特徴
2L飲むことになっているが、キレイになればその時点で終了です。
日本で昔からよく使われている
洗浄力は優れている、確実に腸がキレイになりやすい(※主観です)
味:少し塩目のポカリスエット風
しょっぱさがある
量が多いため後半は飲むのがつらく感じることも
飲み方
200mLずつ10~15分ごとに飲む
合計2Lを2時間かけて飲む
 

 

3. マグコロールP
特徴
1800mL(1.8L)の飲用量で済む
便が出るのがやや遅めかも(1時間後くらい)
便秘気味の人には効きにくいことがある
味:グレープフルーツ風味
しょっぱさがあるが、比較的飲みやすい
冷やすとさらに飲みやすい
飲み方
200mLずつ10~15分ごとに飲む
水を追加で飲む必要があることも


5. ビジクリア
特徴
錠剤タイプで、液体は水、お茶、烏龍茶がOK!
一回の検査で50錠使用(多い!)
便が出るまで時間がかかることがある
温かいお茶で飲むことも可
高血圧・腎障害のある方は内服を避ける

錠剤なので味はしない
ただし、飲む水分量は2L程度が必要
飲み方
15分間に錠剤5錠と水200mlを飲む、これを計10回行う。

◯洗浄度の指標

いずれの洗浄液もキレイになれば終了であり、全量を飲む必要はありません!

④番の状態になった時点で、内服は終了です。
 

■洗浄液の比較

当院で使用している4種類に限って比較してみました!(順位など、完全に私の主観です。)

私の完全な主観なのですが、ニフレックは安全に飲める洗浄液で信頼しています。洗浄力も高く、お年寄りも安全に飲める。ただ味はよくありません☹️

この他にピコプレップやサブプレップといった洗浄液がありますが、当院では使用経験がないため、今回は言及しておりません。

◯まとめると

味で選ぶならマグコロールが一番のみやすい。

洗浄力で選ぶならニフレック

少しでも飲む量を少なくしたいならモビプレップ  

『洗浄液の味が無理!』な方はビジクリア

■飲まない?大腸前処置(洗浄液を注入する)

洗浄液をのまないで体にいれる方法が2つあります。

◯経鼻胃管から胃に注入する方法

鼻からチューブをいれて胃に通し、直接、洗浄液を胃内に流し込みます。

これは確かに飲んではいないのですが、鼻からチューブを入れるのがチョット辛いかも知れません!
チューブの素材や太さを工夫しているにしても、涙がでる辛さがあります。

これをするくらいなら普通に内服したほうがいいかも知れません。

◯胃カメラ中に洗浄液を注入する方法

胃カメラの最中に十二指腸に洗浄液を注入していく方法
胃カメラ→排便タイム→大腸カメラの順に行います。
詳細は分からないのですが少し疑問のある方法です。

■疑問1
鎮静剤を胃カメラの時に使用して、大腸カメラの時にも使用する?
(短時間に2回も鎮静するのは体にとって、あまり良いとは言えない。)

■疑問2
胃カメラをしている短期間で洗浄液を大量に入れていいのか?
(いづれにしても時間をかけて飲むように言われているものですから。)

■疑問3
鎮静された人が洗浄液を飲み干した状態になっていいのか?
(便失禁、嘔吐、肺に誤飲するリスクが心配です。)

いろいろ考えるとすこし乱暴な方法の気がします。
これらの方法は当院では行っておらず、詳細はわかりません。
安全に出来るノウハウがあるのかもしれませんね。

安全にできて、患者さんが満足されるのであれば、良いと思います。

(※ 私の個人的な疑問であり、他院さんを否定するものではございません)

■洗浄液を用いない洗浄方法(本当にのまない洗浄法)

そもそも洗浄液を使用しない方法として、ブラウン変法があります。

ブラウン変法の段取りは下記の表に示しましたが、前々日から下剤を飲みます。そして前日は検査食で過ごし、経口腸管洗浄剤を夕食後に内服します。当日朝に排便をし、来院後に浣腸を少なくとも一回は行い、仕上げます。浣腸といっても微温湯(お湯)を500-1000ml注入するもので、刺激の少ない浣腸になります。

この方法は本当に洗浄液を飲まないで方法ですが、微温湯の浣腸をする手間がかかります。1日に何人もの方に出来ない方法で、極限られた施設で行われているのが現状です。

正直、前処置の仕上がりとしては、人により異なる印象はありますが、大腸カメラが出来ないということはありません。傾向として、普段、便秘の方はあまりキレイに仕上がらないことがあり、不向きと考えます。

キレイに仕上がる方の場合、洗浄液を使用した方法と遜色ありません。

◯ブラウン変法のスケジュール

検査食は低残渣食1日分がセットになっている食品
代表的はものにクリアスルー があります。
薬局で、1400円ほどで購入出来ます。

量が足りない方は『検査食+お粥』の組み合わせもよいと思います!
ただし、お粥は少な目にしてください。

■洗浄液は自宅で内服?院内で内服?

健康な方の場合、どちらが良いかは考え方によります。

◯自宅で洗浄液を内服するメリット

  • 病院に長くいると疲れる!
  • 使い慣れたトイレを使用できる
  • 周りを気にせず気兼ねなくトイレいける
  • 洗浄液を飲んでいる間も自由に好きなことが出来る

◯自宅で洗浄液を内服するデメリット

  • 具合悪くなったときに対応できない
  • 病院に向かう途中の便意が心配

※洗浄液の内服を始めると便意が止まらないのではと心配される方がいます。 
洗浄液の内服終了後2時間もあれば完全に出きってしまい便意はおさまります。
とはいえ、院内で内服すれば、安心感がありますよね。

■院内で内服した方がよい方(大腸がんが疑われる方など)

・高齢の方や出血している方

・急に便秘や下痢になった方

・初回の大腸カメラで、大腸がんの可能性の高いと予想される方

仮に大腸がんが存在する場合、大腸が狭窄している場合があります。
洗浄液の内服により医原性の腸閉塞を起こす可能性があるため、医師が慎重になるケースです。
常に医師や看護師が観察出来るため、病院内で内服されたほうがよい方もいます。

最終的には医師の指示に従ってください。

※私自身の検査の時は、在宅で洗浄液を内服しかしたこと有りません。
内服している間も自宅で自由にすごせるのが最大のメリットと感じます。
病院に長くいると疲れてしまって・・
最近では個室をつくり、動画を楽しめたりと工夫をしている医院さんもありますね。

■洗浄液の内服を中止すべき症状

  • 気分がわるい
  • 吐いた 
  • 息苦しい 
  • お腹が痛い 
  • 蕁麻疹がでる 
  • 顔がむくむ 
  • めまいがでた

このような症状が出た場合には一旦服用を終止して、
検査をうける予定の病院・クリニックに連絡して現状を報告しましょう。

また、自宅で半分の量を飲んでも排便がない場合にも連絡を!
早めに来院して頂いて、点滴で腸が動くように刺激する方法があります。

■洗浄液をもっと飲みやすく!!

以下はベタなことですが、当院で患者様にアドバイスしていることです。

・夏は冷たく冷やして、また氷入りで冷たく。
(氷入りは、製薬会社さん的にはNGと言われますが、全く問題ありません)

・飴を舐めながら味を変化せる。
(当院では飴は可にしています。飴だけでかなり飲みやすくなり、空腹もしのげます)

・冬は温かいお湯、お茶で。
(ビジクリ、モビクレップ の場合、水お茶は温かくしても構いません、
 冬は温かいものがありがたいですね。)

・朝起きて洗浄液を飲む前に、スポーツドリンクや果実の入っていないジュースを摂る。
(糖質が入っているものを摂りましょう!空腹が抑えられます)

・検査前の食事を検査食にする厳しめに!
(当日の洗浄液の内服量を減らすのもいい方法と考えています。キレイになった時点で内服を終わりに出来ます!)

■最後に

『良い検査をしたい!』『良い検査を受けたい!』

医師も患者さんも同じ思いです。

洗浄液をのむのがツライから検査が遠のいてしまうのは、内視鏡医としてとても残念です。

この実状を変えていければと考えています。

大腸カメラは、大腸がん予防のために繰り返し受けてほしい検査です。

『もうこれっきり』に、ならないようにしたいところです。

医師が情報を共有して、適切な前処置法の選択やアドバイスができること。

小さな事かも知れませんが、大切にしなければいけない事と考えます。

文責・監修 

鶴見東口やはらクリニック 矢原 青

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